ベランダを「作らない」選択
2026/10/01
少し前までは、「ベランダがあって当然」そんなイメージを持つ方が多かったのではないでしょうか。
2階にはベランダがあって、天気のいい日に洗濯物を干す。
布団を干したり、外の空気を感じたりする。
そんな暮らしが、長い間「家のスタンダード」のひとつでした。
ところが今、家づくりの現場では少しずつ変化が起きています。
「ベランダをつくらない」という選択をする家が増えているのです。
目次
新築住宅の「ベランダなし」が約3倍に
住環境研究所が、あるハウスメーカーの2階建て・単世帯住宅の間取り約20万件を調査したところ、
バルコニーを採用しない住宅は、
2018年度:10.8%
↓
2022年度:30.6%
へと増加していました。
わずか数年で、約3倍です。
特に30歳未満では、37.9%がバルコニーなしを選択しているという結果も出ています。
ただし、ここでひとつ注意したいのは、この30.6%という数字は日本の新築住宅全体を対象にした統計ではないということ。
ハウスメーカーの一定条件の住宅を対象にした調査なので、「日本の新築住宅の3割がベランダなし」と断定することはできません。
それでも、住宅の間取りが変わりつつあることを考えるうえで、興味深い数字です。
なぜ、ベランダをつくらなくなったのでしょう?
一番大きいのは、やはり洗濯のスタイルが変わったことではないでしょうか。
以前は、
「洗濯する」→「外に干す」→「乾いたら取り込む」
という流れが一般的でした。
でも今は、
「洗濯する」→「乾燥機に入れる」
あるいは、
「洗濯する」→「室内に干す」→「除湿・乾燥する」
という選択肢があります。
共働き世帯が増え、夜に洗濯をする家庭も増えました。
「朝、洗濯物を干して、夕方に取り込む」という暮らし方だけが正解ではなくなったのです。
実際、バルコニーを採用しない住宅では、ランドリールームや洗面・脱衣室などに物干しスペースを設けるケースが増えており、2022年にはバルコニーなし住宅の68.3%がこのスタイルだったとされています。
つまり、「洗濯物を外に干す場所」をなくしたのではなく、「洗濯をする場所そのもの」を家の中に移した。
そんな見方もできます。
「ベランダがない=不便」ではありません
ここは、家づくりでとても大切なポイントです。
ベランダがないと聞くと、「じゃあ、洗濯物はどこに干すの?」と思いますよね。
でも、ベランダをなくす代わりに、
◯ランドリールーム
◯室内物干し
◯浴室乾燥
◯衣類乾燥機
◯ファミリークローゼット
などを近くにまとめれば、洗濯に関する動線を短くすることができます。
たとえば、
洗う → 干す → 乾かす → たたむ → しまう
までをできるだけ近い場所で完結させる。
これなら、2階のベランダまで洗濯物を運び、乾いたらまた取り込んで、1階まで持って降りる……という家事も減らせます。
「ベランダが必要かどうか」ではなく、「自分たちは、どんなふうに洗濯したいのか」から考える。
これからの家づくりでは、そんな発想が大切になりそうです。
もちろん、ベランダが活躍する暮らしもあります
では、ベランダはもう必要ないのでしょうか?
もちろん、そんなことはありません。
たとえば、
・洗濯物はできるだけ太陽の光で乾かしたい
・布団を外に干したい
・外の空気を感じられる場所がほしい
・ベランダで植物を育てたい
・ちょっとしたアウトドアスペースとして使いたい
という方にとっては、ベランダがあることで暮らしが豊かになることもあります。
大切なのは、「今どきはベランダなし」、「昔ながらだからベランダあり」と決めつけないこと。
家族の暮らし方によって、必要なものは変わります。
家は「当たり前」ではなく「自分たちの暮らし」から考える
昔の家には、昔の暮らしに合った間取りがありました。
家族みんなが同じ時間に起きて、日中は家に誰かがいて、洗濯物は外に干して、和室で布団を敷いて寝る。
そんな暮らしが変われば、当然、家の形も変わっていきます。
ベランダが減っているのも、そのひとつなのかもしれません。
これから家を建てるなら、「みんながそうしているから」ではなく、
「私たちは、どんな毎日を送りたい?」から考えてみるのもポイントです。
ベランダをつくるのも、つくらないのも、どちらもひとつの選択。
大切なのは、家そのものに暮らしを合わせるのではなく、
自分たちの暮らしに、家を合わせていくこと。
エヌクルーでは、そんな「暮らしから考える家づくり」を大切にしています。


